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  • 平尾功二

ペテルブルグの飲食事情①


私がホームステイをしていたのは、ワシレオーストロフスキー島の3リニアというところで、メトロのワシリー駅から徒歩5分、法学部にも言語学部にも近い好立地でした。

 ペテルブルグには、マクドナルド、バーガーキング、KFC、サブウェイ、スターバックスなどアメリカ資本のファーストフード店が出店し、それらはいずれも繁盛していました。

特にマクドナルドはどの店舗も大人気でレジの前では常に行列ができていました。写真は、注文用のタッチパネルで、液晶画面の下部にあるクレジットカード端末で支払い、番号を呼ばれて商品を受け取ります。

ケンタッキーフライドチキンも人気で、常に客が並んでいる状態でした。

 これに対し、日本の外食チェーンの進出はほぼ見られず、なかなか残念なところです。和食のレストランはあり、ロシアでも和食は大人気ですが、成功している店舗も実際にはロシアの資本で味も日本の和食とはかなり離れていたりします。

 アメリカ資本のファーストフード店が成功している理由について、いろいろ聞いて回ったのですが二つ理由があるのだと思いました。

一つには、圧倒的なブランドイメージが挙げられます。「固定観念だ!」という批判があるかもしれませんが、ロシア人はアメリカに自由のシンボルという強いイメージを持っています。アメリカという国自体は別としてアメリカ文化を好む人は結構多くいます。

 次に、価格が比較的安いというのも人気の理由であると思います。

マクドナルドは日本の価格より安く、ビッグマックは137ルーブル(274円、1ルーブル2円)で、日本では単品は380円です。ポテトの大は79ルーブル(158円)で、日本では単品は320円です。ケンタッキーのチキンは、一本57ルーブル(114円)で、日本では250円となっています。もちろんセット等になれば価格は変わりますが、全体的な印象として非常に価格を抑えていました。

ホームステイ先では朝食と夕食が出るのですが、なかなか耐えきれず、週の半分は外食をしていましたが、ときどき日本の外食産業が進出して成功する要素は何かななどと考えていました。

 ロシアでは日本のイメージは悪いものではないのですが、それ以上でもそれ以下でもないというのが実感でした。確かに日本人だというと「トヨタいいね!」「スバル大好き!」という反応をくれるのですが、ペテルブルグで走っている多くの高級車はメルセデス、BMW,アウディ、ポルシェ(カイエン多)、レンジローバーで、大衆車はヒュンダイ、キア、中国車、ルノー(ダスターという小型SUV)と二極化していました。

 日本ブランドであるからといって、他の欧米ブランドに対して圧倒的優位にあるわけではなく、ロシアの消費者は賢明に価格と価値で判断していました。

 ただ、スターバックスだけ強気の価格設定で(日本とほぼ同じ、但し量は多い)、しかも繁盛していました。これは価格を超えるブランドを構築したのだと思われます。

 もし、日本の外食産業が進出する場合には、原材料を現地調達し、日本の味を再現・維持し、かつ日本での価格を大幅に下回る価格設定をし、地道にブランドを築き上げていく必要があるかと思います。


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