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弁護士 小笠原洋介

農業と法②~青年等就農計画制度について~


 前回,農業を始めるために農地の取得を考えた際に,通常の土地の取得とは異なる要件が必要となってくることについてお話しました。

 ただ,農地を無事取得し,農業を始めることができたとしても,その後農業経営を安定的に行っていけるだろうかという不安もあるかと思います。

 法制度の中には,本気で農業経営をやっていこうと考えている人を支援するための法制度もいくつかありますので,農業経営を安定的に行っていくために,それらの法制度の有効活用を検討してみてはいかがでしょうか。

 今回は,いくつかある法制度のうち,「農業経営基盤強化促進法」に定められている「青年等就農計画制度」についてご紹介します。

 この制度は,新たに農業経営を営む青年等(原則18歳以上45氏未満の者,知識・技能を有する65歳未満の者,これらの者が役員の過半数を占める法人で,農業経営を開始してから5年以内の者。認定農業者を除く)が,市町村に青年等就農計画を市町村に提出し認定を受けることで,「認定新規就農者」として無利子融資を受けられる等のさまざまなメリットを享受できるというものです。

 市町村に提出する青年等就農計画には,①農業経営の現状,②農業経営の開始から相当の期間を経過した時(経営開始後おおむね5年後)における農業経営の目標,③目標を達成するために必要な施設の設置,機会の購入その他の措置に関する事項等を記載する必要があります。

 青年等就農計画認定申請書が提出され,市町村が,その計画が市町村の基本構想に照らして適切であり,その計画が達成される見込みが確実である等と認めると,その青年等就農計画は認定され「認定新規就農者」となることができます。

 認定新規就農者は,青年等就農資金(無利子融資等)の利用が可能となったり,農地の利用集積等が優先的に図られるほか,農業次世代人材投資事業(経営開始型)の対象となったり,経営所得安定対策や農業者年金保険料の国庫補助(青色申告者に限る)を受けることができるようになるなど,大きな支援を受けることができるようになります。

 今回は,「青年等就農計画制度」をご紹介致しましたが,このような法制度等を有効活用して農業経営を発展させていくのに役立てていただければと思います(なお,法制度等は,変更される場合があります。)。


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